おんなのことして街へ出ると、おとこのことしてのときと比べて、さまざまな違いがある。

痴漢やストーカーの類に遭遇することは、すでにくり返し述べた通りだ。

美容院の割引券など、女性限定のチラシを配ってもらえることもしかりである。

自分自身の行動パターンが異なるのはもちろんである。

そんな中でひとつ気付いたのは、公務中の男性が、女性にはやさしいということだ。

例えば、工事中の道路を通りかかった際、警備員のオジサンの誘導が、おんなのこのときのほうが、どうも丁寧なのである。

ホテルのドアマン、ないしはＪＲの職員なども同様だ。

飲食店のウェイターなども、“女性グループ”には、男性客に対してよりも、愛想やサービスがよいように感じる。

さらには、郵便局で切手を買うときにまで、接客態度が柔らかいように思えた。

ちなみに相手が女性職員の場合は、私が“どちら”でも、さほど態度が変わるようには感じられない。

もちろん、これらは単なる私の思い込みという側面も、大いにある。

しかし半分以上は、やはり、男性が公務において、女性に対して現にやさしく接しているということなのではないだろうか。

これは、一方で痴漢やストーキングに及ぶ、私人としての男性の行為との落差も含めて、気持ちのいいものだ。

やはり男性は、女性にやさしいのがよい。

それが女性差別の裏返しに過ぎないという指摘は、もちろん否定しない。

女性を、弱いもの・守られるべきものと位置付けることは、男性が女性を一段下に置き、支配しようとすることと無関係ではないからだ。

それでも、こうした公務中に男性が見せる女性へのやさしさには、ある意味で、男性が本来示すべき、女性との接し方のヒントが含まれているのではないだろうか。

いや、もっと言えば、むしろ、男性どうしの対人関係・行動原理を改善する参考にさえなるはずだ。

それは、男性自身の生き方のヒントだと言ってもよいかもしれない。